田中 征孝 代表(お米とお酒の配達の 『越』)のインタビュー

お米とお酒の配達の 『越』 田中 征孝 代表

お米とお酒の配達の 『越』 田中 征孝 代表 MASANORI TANAKA

田中家はずいぶん長い間、この地で商売をされているそうですが?

江戸時代の末から明治にかけてですね。何代前の先祖になるのかわからないのですが、アヒルを3匹、売ったところから商売が始まったと聞いています。まわりは当然農家ばかりですからね。つくるだけではなくて、売ることを求められるようになり、酒屋になったとか。兼業農家のはしりですね。
私の父、先代の社長ですが、これがやんちゃな人で(笑)。本業の酒屋の仕事だけでは物足りなかったみたいで、プロパンガスの配給から、建築会社、シュミレーションゴルフといったふうに、どんどん事業を広げていっちゃいまして。ガスのほうは設備工事を中心にして、現在は弟が引き継いで頑張ってますけど、他は…(笑)。
父がいろいろ事業を展開したのも、この地域の発展に貢献したいという気持ちがあったから、と聞いています。夏祭りや地域のイベントにも積極的で、地元の方にこの土地に愛着を持ってもらいたいという気持ちが強かったんだと思いますね。

この職業に就かれたいきさつについてお聞かせください。

いまでこそ都会になりかけてますけど、私の若い頃はこのあたりは田畑しかない田舎町でした。そういうところで、酒屋さんの跡を継ぐっていうことにあまり魅力を感じられなくて。それで、1回、外に出ようと思ったんです。大学を卒業して、住宅、建築関係のサラリーマンをやっていました。現場の監督ですとか、リフォーム、技術系の仕事ですね。CS(お客様満足度)の向上を目指していろいろとやってはいたんですが、これって、父や祖父がずーっとやってきた事なんじゃないかと思いまして。地域に根付いて、お客さんと密接にコミュニケーションをとってやっていくという、昔ながらの日本の商売の形ですよね。サラリーマンをやっていて、結局はそこに行き着くんじゃないかと気づかされましたね。

建築の仕事のアフターサービスは顧客を通してのものでしたので、本当の消費者、エンドユーザーであるお客様と接する機会はなかったんです。直接お客様と触れ合って、感謝されるような仕事に気持ちが傾いていた時に、父の仕事、父の考え方というのが心を占めるようなった。帰ろう、と思ったんですね。

「お酒の配達 越」のサービスについてお聞かせください。

都筑区に住まれている方は結構共働きが多いと聞きます。私もサラリーマン時代、大きな声では言えないけど、倒れてもおかしくないくらい働いてました。だからというわけではないですけど、帰る頃には近所の店が閉まっているとかもありました。レジに並んで待っていることさえ苦痛に感じることもありました「早く帰りたいのにぃ」と思いながら。週末はどこか遊びに行きたいと思っても、平日が忙しくて買い物できないからせっかくの休みの日が買出しの日でした。会計を済まし、さあ帰ろうと駐車場に戻るとき、買い物の量が多いので、カートをそのまま利用していきます。そうするとエレベーターでの移動になります。「こんなに買わなきゃエスカレーターでさっと戻れるのになあ。」と思いながら・・・カートから荷物を車に移し、カートを置き場に返しに行く。もういやだと思いました。そんな経験からお客様が望んでいることって、平日少し遅くても配達してくれる店があれば、帰る頃には閉まってたとか、大型店での買い物がわずらわしいとか、週末別のことに時間を使えないとか言うことから解放されるのになあと思ってるのではと思い、22時までお届けをしようと決めました。個人店なので価格競争できないので、私がお客様に出来るサービスは、商品を売ることでなく、お客様に時間を作ってもらうことだと思ってます。

田中さんの夢についてお聞かせください。

会社を辞めたもう1つの理由なんですが。私には自閉症の子どもがいるんです。そういう子どもを授かっていざ当事者という立場になると、自分だけよければいい、ということにならないんです。その子の将来を考えると、ごく普通にそういう考え方に行き着くといいますか。買い物に行きたくても行けない、という方が大勢いらっしゃいます。子どもから手が離せないとか、年をとって足腰が不自由になったからとか。宅配サービスを通して、少しでもそういう方のお役に立てればと思っています。
私と同じような立場の方に関心を持ってもらって、じゃあ、一緒に何かやっていきましょうと。それがカタチになること。私のいまの夢、ですね。

最後に地域の皆様へメッセージをお願いします。

何かお困りの時、電球の取り替えですとか、そういったことも気軽に仰っていただければお手伝いをさせていただきます。お酒の配達がメインではあるんですが、私たちが地域を廻ることによって、人と人をつなぐといいますか、地域の架け橋になる事が出来ればと。夏にこういうイベントがあるんだけど、どう?とか、こういうお店があるんだけど知ってる?とか。そういう情報をお酒やお米と一緒に配ることでつながりが生まれて、地域の皆様が愛着を持つ街に出来ればと。そのために出来る限りの協力を私どもはしていきたいと思っています。

※上記記事は2010.6に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

お米とお酒の配達の 『越』 田中 征孝 代表

お米とお酒の配達の 『越』田中 征孝 代表 MASANORI TANAKA

お米とお酒の配達の 『越』 田中 征孝 代表 MASANORI TANAKA

  • 愛読書: 歴史関係が好きだけど、今は社長に成り立てなのでビジネス本です。
  • 好きな映画: フィラデルフィア
  • 座右の銘: 一期一会
  • 好きなアーティスト: 佐野元春
  • 好きな場所: 134号線の稲村から鎌倉高校前にかけて。左に江ノ島、正面に富士が見える風景。
  • 生年月日: 1969年10月14日
  • 出身地: 神奈川県
  • 血液型: AB型
  • 趣味: マラソン、ドライブ

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