伊藤 浩一 院長(北山田耳鼻咽喉科)のインタビュー

北山田耳鼻咽喉科 伊藤 浩一 院長

北山田耳鼻咽喉科 伊藤 浩一 院長 KOICHI ITO

大学、大学院卒業後、耳鼻咽喉科を専門に研鑽を積む。2009年「北山田駅」に開業。

自らの体験をきっかけに、医師を志すように

私の妹は生まれつきの脳性麻痺で小さい頃から自力で歩くことが出来ませんでした。いまから数十年以上も前のことですが、その時代に身体障害者を抱えて生活するというのは並大抵のことではなかったんです。なにしろバリアフリーという言葉もなかったくらいで、車いすも容易に手に入る時代ではありませんでした。私の父は妹が大きくなるまでずっと抱っこをして移動していました。その苦労を小さい頃から見てきたことで、妹のような人を少しでも手助けの出来る仕事をしたいと考えて医者を目指すようになりました。
耳鼻咽喉科は人間の五感のうち、視覚、聴覚、味覚の3つに関わっている科になります。それに加えて喉という場所は呼吸の通り道であり、食べ物が最初に通っていく場所でもあります。人間が生きる上で必ず必要な部位を扱うこの分野に興味を抱き、耳鼻咽喉科を選択することになりました。
私は大学卒業後、これまでに大学付属病院医局長や横浜新緑総合病院部長での勤務を経て、青葉区しらとり台耳鼻科で院長を務めるなどしていました。風邪症状からアレルギー、難聴等、あらゆる世代の方のかかりつけ医として地域の皆さんの健康の維持のお役に立っていきたいと考えています。

患者さんの背景にあるものに配慮して、1人1人に最適な治療を

地域柄、お子さんの患者さんが多い傾向にあります。およそ4割くらいがそうでしょうか。耳鼻咽喉科は大人でも一種の恐怖感を感じる人も少なくありませんから、それが子供であればなおさらです。その恐怖感を少しでも和らげるためになるべく声掛けを多くおこなうようにしています。「次はお口の中をみるよ」「お耳をみるよ」「お鼻を吸うよ」と何かに取りかかる前に予告をすることが大事ですね。あらかじめおこなうことがわかっていれば恐怖感はずいぶんと減るものだと思います。

全ての患者さんに共通するものとして、その方のバックグラウンドに留意して診察をおこなう必要があります。例えばアレルギーの治療ひとつをとってみても、その方が何をされているかにより薬の選択が違ってきます。バスの運転手さんに眠くなる薬を出せば大変なことになりますよね。
1人ひとりの患者さんの背景を伺い、それに注意して治療をおこなっていくことが重要だと考えています。

地域の「かかりつけ医」として、見落としのない診療を心がける

勤務医時代は外来をおこなう回数はせいぜい週に2回程度。それに対して開業してからは毎日患者さんを診るということになりました。それはつまり患者さんを点ではなく線で診るということですね。刻々と変わる細やかな経過を知り、それを治療に活かしていけるというのは医師として非常にやりがいのあることだと思っています。耳鼻咽喉科の開業医の役割もその点にあると思うんですね。喉頭炎や扁桃炎、中耳炎やアレルギー性鼻炎、これらは一般的なありふれた疾患ですが、逆に言えばそうした病気のほうがガン等の難しい病気よりははるかに症例が多いわけです。頻度の多い疾患を細かくケアしていくことが我々開業医に求められる仕事だと考えています。
もちろん、中には重篤な疾患も存在しますから、そこをピックアップして速やかに大きな病院へ紹介するということも大事なことです。毎日のケアと重要な疾患の見極めをしっかりおこなっていくのが我々の使命であり役割であると考えています。

花粉症や喉のイガイガなどの症状に、当院ならではの治療法

私はアレルギー学会専門医として長らくアレルギー疾患を専門的に診てきました。花粉症やダニのアレルギー症状に対する根本的治療法として、現在は『抗原特異的免役療法』を行っております。この方法には皮下注射法と舌下法があり、皮下注射法はアレルギー物質を注射によって、舌下法はタブレットを舌の下において身体に入れていく方法です。昔からあるのは皮下注射法で、私も30年以上この方法を行ってきましたが、技術的に難しいため医師の間であまり普及せず、一般的な療法として広がりませんでした。舌下法は患者さんに用法容量ともに基準に従っていただくだけなので、簡単で5、6年前から広がってきています。注射の利点は、1か月から1か月半に一度病院で注射を打つだけですむこと、若干効き目として舌下より強いことです。舌下の利点は、注射のように痛かったリ痒かったりすることが無いので、お子さんに使いやすいことです。ただ、毎日自分で忘れずに行わなければならないので、注射の方が楽だとおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。花粉の場合は6月ごろから12月ごろまで、ダニの場合は時期を選ばず始めていただくことができます。
喉がイガイガしたり、痰がからんで不快だというような症状が長く続き、副鼻腔炎でもない場合、慢性上咽頭炎という病気の可能性があります。この病気に対する関心がまだ高くないため、今のところ発見されにくい病気ではありますが、実はお困りの方が多い症状だと思います。当院では慢性上咽頭炎に対する治療法として、Bスポット療法を行っております。上咽頭のBスポット呼ばれるところに消炎剤を塗布する方法ですが、このBスポットは免疫機能のポイントであるとも言われていて、Bスポット療法で慢性上咽頭炎の治療をした結果、腎臓の病気が良くなるなどの効果も報告されています。長年鼻や喉が弱い体質だと諦めていらっしゃる方も、一度ご相談いただくと良いかもしれません。

これから受診される患者さんへ

風邪の初期症状(鼻水、鼻づまり、咽痛等)でも、どうぞお気軽にご来院下さい。最近の傾向としてお子さんの難治性中耳炎、それから大人の低音障害型感音難聴が増えているという実感があります。この低音障害型感音難聴というのは難聴が良くなったり悪くなったりを繰り返すもので、メニエール病の軽度の症状になります。この疾患は初期の段階では一日二日であっさり正常に戻ってしまいますので病院に掛からないパターンが多いんです。ただ、放っておくと激しいめまいを伴う本当のメニエール病に陥ってしまう危険性があります。
一度でも変調を感じたら、そこでとどめるのではなく、専門医を受診されることをお薦めします。風邪からアレルギー性鼻炎まで、耳・鼻・喉に関するものはトータルでサポートさせていただきますので、どうぞお気軽にご来院ください。

※上記記事は2019年.8月に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

北山田耳鼻咽喉科 伊藤 浩一 院長

北山田耳鼻咽喉科伊藤 浩一 院長 KOICHI ITO

北山田耳鼻咽喉科 伊藤 浩一 院長 KOICHI ITO

  • 好きな言葉・座右の銘: 学ぶとは誠実を胸に刻むこと
  • 好きな音楽: ジャズ、ポップス
  • 好きな場所・観光地: 京都
  • 出身地: 東京都
  • 趣味・特技: 自作パソコン、空手
  • 好きな本・愛読書: 司馬遼太郎
  • 好きな映画: ゴッドファーザーシリーズ

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