大山 学 院長(大山クリニック)のインタビュー

大山クリニック 大山 学 院長

大山クリニック 大山 学 院長 MANABU OOYAMA

この道に至るきっかけと、これまでの経緯をお聞かせください。

私は祖父から数えて三代目の医者ということになります。父の診療している姿を見て育ち、「これならば目指してみよう」と思うようになったのです。私には2人の息子がいますが、2人ともに医者となりました。それも考えますと、医者という職業には、「悪いものではない…」と思わせる何かがあるんでしょうね。聖マリアンナ医科大学を卒業後、主に小児の循環器を専門に診てきました。開業を迎えたのは40歳を目前にした時期ということになります。およそ自分の診療に自信が持てるのはそのくらいの時間が必要ということなのではないでしょうか。病院であれば周囲に相談することが可能ですが、開業となれば自分1人で全てを判断していかなくてはなりません。逆に言えば、それだけの力がないことには開業医は務まらないということかもしれませんね。
私が開業した当時、ここはまだ港北区で、区役所もなく、地下鉄もないという状況でした。目の前には見渡す限り野原が続き、遠くには都内の高層ビルを見ることが出来たくらいです。今だからこそ言えることですが、当時はこの場所で開業することをずいぶん周りに心配されたものですね(笑)。

『大山クリニック』の診療方針をお話しください。

私は小児科専門医であるわけですけども、開院以来、家庭医でありたいという気持ちで診療に当たっています。赤ちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまで、どなたであろうと診ていくという姿勢ですね。実際、子供にお母さんが付き添っていらして、そのお母さんが風邪を引かれていたとしたらどうでしょうか? 「うちは小児科だから…」というのは理由にもなりません。もちろん、自分の範囲を越えているものに関しては速やかにご紹介をさせていただいていますし、その線引きは必要です。しかし、私に出来ることで、かつ、患者さんご自身が納得してくださるものについては、責任を持って全てを診させていただくという姿勢でいます。

診療に際して心掛けていることを教えてください。

大人であれば、「どこが痛い」ということを訴えれますから、その箇所だけを診ていればいい。しかし、小さな子はそういうわけにはいきません。状態を鑑みてある程度の検討をつけて診察していきますが、全身をくまなく診ていく必要があると思っています。小児科ではいざお子さんを目の前にした時、どこも悪そうに見えないということがままあります。しかし、連れて来たお母さんからすれば何か異常を察知して来られたに違いないわけです。お母さんが「どこかおかしい」と思われたならば、まずもってその直感は正しいものです。お話によく耳を傾け、わずかな可能性にも注意をして診ていくのが小児科医だと私は考えています。

長きに渡って小児科を診てこられて、昔に比べて変化してきた部分はありますか?

良い傾向としては感染症が明らかに減ったことでしょうね。さらに言えば、流行の広がりが最小限に抑えられているということ。これはワクチンの効果でしょうし、総じて適切な治療がおこなわれている証左だと思われます。 悪い傾向と言ってしまって良いものかどうか迷うところですが、昔に比べて心身症に類するものが増えてきているように思います。例えば、お子さんが頻尿になってしまった。幼稚園でしょっちゅうトイレに向かうと。ところが、よくよく聞いてみれば、家に帰ればまったく問題がないということなんです。適応障害と分類されるもので、その子により頻尿や腹痛、頭痛といった症状が現われていると考えられます。社会的な問題でもありますから、私1人の力でどうこうしようというのはおこがましいのかもしれません。しかし、その1つひとつの事例に対し、お母さんに納得していただくための努力を惜しむべきではないと思います。子供は敏感ですから、お母さんの心配がさらにプレッシャーとなってしまいがちです。「そんなに心配されることではないんだよ」と、お母さんのストレスを軽減していくことに力を傾けるべきだと考えます。
昔であれば、身の回りに相談出来る人がたくさんいたわけです。ところが今の時代、その相談相手がインターネットになってしまっているケースが多く見受けられます。インターネットそれ自体はすごく便利なものですが、真贋が混ぜこぜになってしまっている状況ではかえって心配が増していく恐れがあります。お母さんの悩みごとを1つひとつ解決していき、適切なアドバイスをしていくのが、我々の使命だと考えています。

最後に地域の皆様へメッセージをお願いします。

母乳栄養の大事さが広く認識されるようになってきました。しかしその一方で、母乳をいついかなる場合に置いても優先してしまう傾向を目にします。確かに、それは大切なことに違いありません。しかし、どんなに頑張ろうとも出ないお母さんがいるわけであり、そうしたお母さんへのケアを間違ってはなりません。母乳が充分に出ないのであれば、最初だけおっぱいを吸わせてあげて、あとはミルクを使っていけば良い。1つの価値観に凝り固まるのではなく、その人にとって良い方向へと導いてあげることが何よりも大切なことです。一時、悩みを抱えてしまうのはしょうがないことかもしれませんが、何でも打ち明けられて、納得のいくまで話が出来る。そんなお医者さんを見つけることが大切です。上手にかかりつけ医を利用していただきたいですね。


※上記記事は2014.08に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

大山クリニック 大山 学 院長

大山クリニック大山 学 院長 MANABU OOYAMA

大山クリニック 大山 学 院長 MANABU OOYAMA

  • 好きな本・愛読書: オールジャンル
  • 好きな映画: スター・ウォーズ
  • 好きな言葉・座右の銘: 努力
  • 好きな音楽: ジャズ、ポップス
  • 好きな場所・観光地: 釧路湿原
  • 生年月日: 1951年4月6日
  • 出身地: 愛知県
  • 血液型: O型
  • 趣味・特技: ゴルフ、バードウォッチング、カヌー

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