渡邉 裕二 院長(佐江戸歯科)のインタビュー

佐江戸歯科 渡邉 裕二 院長

佐江戸歯科 渡邉 裕二 院長 YUJI WATANABE

鶴見大学歯学部を卒業後、補綴を中心に研鑽を積む。1984年、佐江戸町に開業。移転・リニューアルを経て、現在に至る。

この道に至るきっかけと、これまでの経緯をお聞かせください。

ライナス・ポーリングの『一般科学』。これを読んで、生命というものに興味を持ったのが最初のきっかけだったでしょうか。ちょうどその頃は、遺伝子の構造が初めて明らかになったという時代だったんですよね。ところが、当時、生化学(生命科学)を学べるところは非常に限られていまして、迷った挙げ句、山形大学の工学部へと進みました。自分でアンプを作ったりもしていましたから、興味がないこともなかったのです。結果として、卒業後も「これを仕事にしよう」とはついぞ思えませんでしたが(苦笑)。
鶴見大学歯学部に進んだのは、あきらめきれない夢をかなえるためでもありました。手先が器用なこともありましたし、歯の世界で、生命というものに間接的に携わることが出来るのではないかと考えたのです。
卒業後は同大学の補綴科に籍を置いて研鑽に励んだのち、1984年に佐江戸町にて『佐江戸歯科』を開院致しました。隣町である、ここ池辺町に移転したのが1995年のことになります。

『佐江戸歯科』の診療方針をお話しください。

お口の中全体が少しでも良い状態になるように。このことをまず前提として考えていますが、治療を選択するのは、あくまで患者さんご自身ということになります。若かりし頃は、自分の思う良い治療というものを頑なに信じているところがありました。すなわち、口腔内の機能を出来る限り長く保たせるということを、患者さんにも求めていたのです。しかし、あるとき、それが変わったんですね。というより、自分の信じる価値観と患者さんのそれとは必ずしも一致しないということに気づいたというのでしょうか。自分が良いと思ってやっていることも、時に患者さんには迷惑なことがあるということに思い至ったのです。
たとえばそれは治療に掛かる日数であったり、費用の面にしてもそうです。患者さんそれぞれで歯科の治療に掛けることの出来るものは異なる。それに気づいたとき、押し付けるようなことはすまいと、考えるようになっていきました。
以来、患者さんのご都合であったり、本当の気持ちを斟酌していきたいと考えています。患者さんにしても、なかなか簡単に本音のところを打ち明けてくるものではありません。ですから、とにかく何でも言っていただけるような雰囲気を作ることが第一。そこで触れることの出来た本当の気持ちから、最良の組み合わせをしていきたいと常々考えています。

 

歯を守るためのケアについて、アドバイスをください。

歯磨きにしても、患者さんの価値観というものがあるんです。たとえば、「どうしても1回しか磨きたくない」ですとか。口に出して、そうとはっきり言われるわけではありませんよ。しかし、そういう思いは段々と伝わってくるものですし、なにより歯を見ればそれはわかります。そうした方には、その1回の歯磨きを夜にしてください、とお伝えします。患者さんの価値観の中で、最良の方法を見つけ出していくという1つの例ですね。
歯は、とにかく1本1本を磨くように意識してください。そして、なるべく面に対して直角に歯ブラシを当てていくことが肝心です。ポケットの歯垢を掻き出そうとしても、かえって歯ぐきを傷つけてしまう可能性があります。それより、ポケットの縁ぎりぎりのところに直角にブラシを当てて磨いてあげること。そうすれば自ずと炎症は治まっていきますし、結果として、ポケットは浅くなっていくものなのです。

根幹治療ではゴムのフィルムを用いられると伺っていますが?

ゴムのフィルム、いわゆる、ラバーダムと呼ばれるものです。根の治療は、言わば、ばい菌との闘いです。唾液の中にはばい菌がたくさんいますから、それらを患部に入れさせないようにすることが、治療の絶対条件になります。ただし、ラバーダムを使用したからといって感染を100%防げるかと言えば、そうではありません。ここが難しいところなのですが、事実として言えることは、ラバーダムの有無によって感染の確率が大幅に変わるということ。出来る限りリスクを減らすことを心掛け、その場限りではない、生涯を見据えた治療をおこなっていきたいと考えています。

最後に地域の皆様へメッセージをお願いします。

「虫歯を治す」とは言いますが、厳密な意味において、虫歯を治すことは出来ません。表面を削り、代用物に置き換えてあげるだけのことで、健康だった歯が元に戻るというわけではないのです。となれば、とにかく虫歯にしないこと、歯周病にしないこと、というのが重要になりますし、そのためにはしっかりと管理をおこなっていく必要があります。管理とは、つまりは普段の歯磨きのことになりますが、歯ブラシが届かない場所というものも当然存在します。そして、その届かない場所というのは、年を経るごとに増えてくるのです。まずはご自身で頑張っていただくこと。そして、それが出来ない場所については、定期的に歯医者さんで掃除をしてもらうこと。歯の管理のお手伝いをさせていただくことで、少しでも皆様の健康のお役に立っていきたいと考えています。

※上記記事は2014.12に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

佐江戸歯科 渡邉 裕二 院長

佐江戸歯科渡邉 裕二 院長 YUJI WATANABE

佐江戸歯科 渡邉 裕二 院長 YUJI WATANABE

  • 好きな言葉・座右の銘: 和
  • 好きな音楽・アーティスト: シンプリー・レッド
  • 好きな場所・観光地: 自転車で走って気持ちのよいところ
  • 出身地: 神奈川県
  • 趣味・特技: ロードバイク
  • 好きな本・愛読書: 一般科学(ライナス・ポーリング)
  • 好きな映画: 忍冬の花のように

INFORMATION