門倉 光隆院長(昭和大学横浜市北部病院)のインタビュー

昭和大学横浜市北部病院 門倉 光隆院長

昭和大学横浜市北部病院 門倉 光隆院長 MITSUTAKA KADOKURA

大学卒業後、外科を専門に研鑽を積む。呼吸器外科を中心に経験を重ね、地域の中核病院の院長に就任。

さまざまな影響を受けて医療の道へ。

私は小学校の頃まで体が弱く、熱を出すなど体調を崩し頻繁に病院のお世話になっていました。しかし、こうしたことが医療というものに対して興味を持つきっかけになったと思います。高校の頃になり進路について考えた時、自然科学の方向へ行きたいなという希望はありました。 在学していた日比谷高校では、周りの友人に医学を志す人間が多く、次第に医学の道を意識する様になりました。
進学に際して、医師として志したのは外科医です。私が子供の頃にテレビで放送されていた「外科医ギャノン」という海外の医療ドラマの影響もあると思います。
私の卒業した時代にはまだ今のような専門医というものがない時代です。大学卒業後はすぐに外科医の医局に入局しました。当時の大学病院では「外科学講座」という一つの大きな教室に属し、3カ月ごとに小児外科、脳外科などさまざまな部門をローテーションで体験しました。そこから自分の専門分野を絞り込んでいくわけです。各部門をまわりながら自分で専門に行う医療分野を決めていった時代でしたね。
今は肺がんや気胸などの病気を扱う呼吸器外科を専門にしています。卒業以来37年間、色々な場所で経験を積みながら医局一筋で来ています。今まで通算3000件を超える手術に携わってきましたが、院長に就任してからは、現場を離れ、病院全体をみることに専念しています。しかし、たまに手術室に顔を出すなど医療現場との関わりも忘れていません。

診療科目と診療方針について教えてください。

当院の診療科目は呼吸器、消化器、循環器、小児科、皮膚科、歯科、救急医学科など22科目です。当院は青葉区、都筑区、緑区、港北区の横浜市北部地域医療圏の中核的な役割を担うため2001年に開設されました。港北にある横浜労災病院、青葉にある昭和大学藤が丘病院と当院の3つで約100万人の住民の皆様に高度医療を提供することが使命だと思っています。3つの病院が同じテリトリーの専門を持つ必要はありませんので、それぞれ異なる役割を担う病院として協力し合い、より多様化する患者さんのニーズにお応えしていきます。
当院の基本理念は「常に心こもる病院でありつづける」「無事故の病院になる」「現在のぞみうる最高の医療をおこなう」の3つです。患者さんが当院を選び心身を委ねられているわけですから、その深い信頼にお応えしなければなりません。患者さんの言葉に耳を傾け、現在の医療が提供しうる安全で最高の医療サービスを提供する所存です。

こうした理念をより確実なものとするために、当院では「センター制」という横断的なチーム医療体制を導入しています。「呼吸器センター」「消化器センター」など6つのセンターを設け、その中に内科医と外科医を常駐させて疾患(病気)に対する診断、検査、治療を一貫して行っています。細分化された専門領域にとらわれることなく全人的な診断、治療を行うことが狙いです。専門があまりにも細分化されますと、例えば患者さんの背中だけ、脚だけしか診ず患者さんの全体像が把握できないといった状況が起こりえます。そこでセンターでは、患者さんを担当するさまざまな役割のスタッフが連携を取りながらベストな治療法を考えています。

初診でいらっしゃる場合も、患者さんがどの科にかかればよいか悩まれることがないよう「総合相談センター」を設けました。ご病状をお話しいただければ、該当する受診科をご案内できます。

「患者サポートセンター」についてさらに詳しくお聞かせください。

重篤であるほど、患者さん本人だけでなくご家族のお悩みも深くなります。患者さんご本人が認知症にかかった場合はさらにご家族に大きな負担がかかり、今までと異なる生活を送る必要に迫られます。そこで当院は「総合相談センター」を設け、患者さんとそのご家族の心配や疑問・不安をご相談できる体制を整えました。また先述の通り、当センターは初めてかかる患者さんのご相談を承り、然るべき受診科をご案内する役割も担っています。仮に受診科が違っていても、その科が責任を持って然るべき受診科にかかれるようサポートしています。予約は要りません。
当院は患者サポートセンター内に「総合相談センター」を設け、「患者サポートセンター」では、入院前/退院後の支援もさせて頂いています。入院の期間、ご予算のほか、退院された後は引き続き診て頂くクリニックや先生をご紹介するほか、安心して自宅で療養生活を送っていただくためのフォロー体制を整えました。手術や治療方法の進化に伴い入院期間が短くなっていますので、退院後のフォローがより大切になってきています。これまで看護師が担当していたことをご家族が行うケースもあります。ご家族が高齢で無理がある場合は、訪問看護でサポートしてもらう方法も考えなくてはなりません。地域の訪問看護ステーションの方も集って、今後の対策を話し合います。

「女性外来」「マタニティハウス」や「呼吸器センター」といった取り組みについて教えてください。

「女性外来」は内科の専門外来にあり、主に乳腺疾患、更年期障害など女性ホルモンに関する疾患を取り扱っています。ほかにも整形外科的な疾患やご相談も承っています。女性特有の疾患・症状はどうしても男性医師では相談・受診しづらいという方がいらっしゃいます。このため「女性外来」には女性医師が常駐し、さまざまなお悩みに対応させていただいています。単なる「不調」なのかそれとも病気なのか・・こういったご相談にも乗りますので、どうぞお気軽に受診してください。「マタニティハウス」は医師の立ち会いのもと助産師が中心となって分娩を行う病棟のことをいい、「呼吸器センター」は内科医と外科医が協力して診療を行う呼吸器疾患専門の診療センターであります。
マタニティハウスでは出産される方に応じて分娩に携わるスタッフを決めています。普通の出産の方は助産師が中心となって行い、合併症の可能性があるなどハイリスクの妊産婦の方には医師が主となり分娩への立ち会いを行います。こうした分業により、より安全に多くの方の出産をお手伝いすることができるのです。
呼吸器センターは当院の開設時からある診療センターで、例えば肺がんという病気一つとってみても、内科医と外科医の両者が関わることが必要です。内科医と外科医が連携して病気の治療に関わることによりシームレスでスピーディーな医療をご提供することができます。
また、内科医は外科医の診療内容を、外科医は内科医の診療内容を知ることにより、より病気に関しての知識が深まるというメリットもあります。
今後はマタニティハウスに関しては、助産師主導でどれ位の出産が可能かをみていく必要があると思っています。
また、呼吸器センターに関しては、循環器を始めとするほかのセンターとさらに緊密な横のつながりを深めていくことで良い医療につなげて行ければと考えています。

これから受診される患者さんへ。

ほかの地域と同様に都筑区も住民の方の平均年齢が上昇しており、地域の中では在宅医療を提供するクリニックも年々増えています。地域の中核医療を担う私どもの役割として、今後地域医療や介護の現場といかに連携して関わっていくかが大切だと考えています。昭和大学全体では医師だけでなく看護師や薬剤師、理学療法士ほか、病院で働く全ての職種によるチーム医療をテーマとして掲げています。医療を目指す学生達は大学1年生のときからチームでの医療提供について身を持って学んでいます。病院としても院内の横の連携だけでなく、地域の医療機関との連携によるチーム医療も構築して行きたいと考えております。
また、大学病院である当院では、ベテランの医師のほかに若手の医師も多く在籍しております。これから継続して良質の医療を提供していくためには、今後の時代を担う医師を育成していくことが必要となります。診療の中では研修医を始めとした若手の医師も担当させていただくことがあると思いますが、患者さんへは病院全体で高度な医療を提供して行きたいと思っています。
さらに、当院では患者さんが病気の予防や治療について学んでいただく機会を設けております。例えば、糖尿病での血糖値のコントロールなど、さまざまな病気へのケアについて入院して学んでく教育入院のほか、春と秋年2回の公開講座や不定期でセミナーなども開いています。こうした機会を利用して健康で暮らす習慣を持っていただければと思います。

※上記記事は2017年9月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

昭和大学横浜市北部病院 門倉 光隆院長

昭和大学横浜市北部病院門倉 光隆院長 MITSUTAKA KADOKURA

昭和大学横浜市北部病院 門倉 光隆院長 MITSUTAKA KADOKURA

  • 好きな言葉・座右の銘: 心
  • 好きな音楽・アーティスト: サザンオールスターズ、松任谷由美、イ・ムジチ合奏団、ヒーリングミュージック(加古 隆など)、クラッシック
  • 好きな場所・観光地: 湘南
  • 出身地: 東京都
  • 趣味・特技: テニス、スキー、乗馬
  • 好きな本・愛読書: 浅田 次郎、宮本 輝の著作
  • 好きな映画: スターウォーズ

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